どんな仕事であっても、”資料作成”は必須の作業です。生成AIを使えば、調査から資料作成までの一連の作業をサポートし、業務効率化を実現できます。
テーマをプロンプトで入力すると、調査から資料作成まである程度自動でできてしまう専用のAIサービスもありますが、今回は、基本的なGoogleのAI「Gemini Advanced」を使って、資料を作成してみたいと思います。使用するLLMはgemini-2.5Proです。
LLMは日々変化しています。また、同じプロンプトでも同じ結果が出るとは限りません。欲しい結果が出るようにプロンプトの表現を調整してみて下さい。調整の際には、推論モデルを使っている場合には、思考プロセスを確認すると良いかと思います。
ドキュメント
通常のドキュメント形式(*.doc)の場合、プロンプトに指示するだけで基本のドキュメントが作成されます。特に推論モデルにおいては、調査の手順なども含めてAIが生成するので、細かい指示は不要となっています。
プロンプトの例)
日本の少子高齢化についてのレポートを20ページで書いて下さい。
内容には以下の内容を含み、必要に応じて加筆して下さい。
・戦後の日本の人口推移
・世界との比較
・なぜ少子高齢化が問題なのか?
・現状行われている対策とその有効性
・今後必要となる施策
生成AIが作成してきたレポートの目次は以下のようになっていました。
はじめに
- 1.1. 少子高齢化の定義と日本の現状
- 1.2. レポートの目的と構成
戦後の日本の人口推移
- 2.1. 人口爆発から人口減少へ:概観
- 2.2. 出生率の変動:ベビーブームとその後の低下
- 2.3. 平均寿命の延伸と高齢化の加速
- 2.4. 人口ピラミッドの変化とその意味
世界との比較:日本の少子高齢化の特異性
- 3.1. 高齢化率:世界最高水準とその要因
- 3.2. 出生率:主要先進国との比較
- 3.3. 少子高齢化のスピード:他国との比較
- 3.4. アジアにおける少子高齢化との比較
なぜ少子高齢化が問題なのか?:多岐にわたる影響
- 4.1. 経済への影響
- 4.1.1. 労働力人口の減少と潜在成長率の低下
- 4.1.2. 社会保障費(年金・医療・介護)の増大と財政への影響
- 4.1.3. 消費市場の縮小と構造変化
- 4.1.4. イノベーションへの影響
- 4.2. 社会への影響
- 4.2.1. 地域社会の活力低下とインフラ維持の困難化
- 4.2.2. 空き家問題の深刻化
- 4.2.3. 医療・介護サービスの需給ギャップ
- 4.2.4. 世代間扶助システムの持続可能性
- 4.3. その他の影響(安全保障、文化継承など)
現状行われている対策とその有効性
- 5.1. 少子化対策
- 5.1.1. 子育て支援策(保育、経済的支援、育児休業制度など)
- 5.1.2. 働き方改革とワークライフバランス
- 5.1.3. 結婚・妊娠・出産支援
- 5.1.4. 教育費負担軽減策
- 5.1.5. 少子化対策の有効性評価と課題
- 5.2. 高齢化対策
- 5.2.1. 社会保障制度改革(年金、医療、介護保険)
- 5.2.2. 高齢者の就労・社会参加促進
- 5.2.3. 健康寿命延伸への取り組み
- 5.2.4. 地域包括ケアシステムの推進
- 5.2.5. 高齢化対策の有効性評価と課題
今後必要となる施策:持続可能な社会に向けて
- 6.1. 少子化対策の抜本的強化
- 6.1.1. より大胆な経済的支援と機会平等
- 6.1.2. ジェンダー平等の徹底と男性の育児・家事参画促進
- 6.1.3. 柔軟で多様な働き方の確立
- 6.1.4. 結婚・子育てに対する社会全体の意識改革
- 6.2. 高齢社会への適応と活力維持
- 6.2.1. 全世代型社会保障制度の構築
- 6.2.2. エイジフレンドリーな社会環境整備(テクノロジー活用含む)
- 6.2.3. 生涯現役社会の実現と学び直し支援
- 6.2.4. 人口減少を見据えた国土・地域デザイン
- 6.2.5. 多様な主体との連携(NPO、企業、地域住民)
- 6.3. 外国人材との共生に向けた議論の深化
- 6.4. 社会全体の意識変革と世代間協力の促進
おわりに
- 7.1. 少子高齢化問題の複合性と緊急性
- 7.2. 未来への展望:課題克服に向けた国民的議論と行動の必要性
全体構成としては、指示通りですが、第6章の内容が少し私の考えと異なりましたので、以下のように追加で指示をしました。
第6章について、少子化を国の政策で抜本的に改善するのは難しいと考えています。むしろ、高齢者の健康寿命を伸ばすことによって、社会保障の負担を減らし、労働人口を確保することが重要だと考えています。さらに、全体の人口減少による問題については、AIの活用などによって解決を図り、現状の人口構成でも社会が維持できるようにすべきかと考えています。
その結果、第6章は以下のように修正されました。
6. 今後必要となる施策:持続可能な社会に向けて
- 6.1. 少子化対策の再考と現実的なアプローチ
- 6.1.1. 希望出生率実現に向けた環境整備の継続
- 6.1.2. ジェンダー平等と多様な家族観の受容
- 6.1.3. 若年層の経済的安定とキャリア形成支援
- 6.2. 高齢社会への適応と活力維持の強化
- 6.2.1. 健康寿命延伸の加速と予防医療・介護予防の推進
- 6.2.2. 全世代型社会保障制度の構築と負担の公平化
- 6.2.3. 生涯現役社会の実現と多様な就労・社会参加形態
- 6.2.4. テクノロジー(AI等)活用による労働力不足・課題解決
- 6.3. 人口減少社会を見据えた社会経済システムの再設計
- 6.3.1. コンパクトシティ化と地域インフラの再編
- 6.3.2. 外国人材との共生に向けた環境整備と国民的議論
- 6.3.3. デジタル化による生産性向上と行政効率化
- 6.4. 社会全体の意識変革と世代間協力の促進
このように、対話的に自分の考え方を生成AIに伝えることで、自身の主張を反映させることができます。また、一度文章を生成した後に、「更に検討すべき項目はないか見直して」と指示して、更に良い資料を完成させて行くことができます。
通常、出来上がった資料は Copy&PasteでWordなどに貼り付けますが、Geminiの場合は、Canvas機能を使うことによって、出来上がった資料をGoogleドキュメントとしてエクスポートすることも可能です。
プレゼン資料
プレゼンテーション形式の資料を作成することも実務ではよくあります。
生成AIではHTML形式の資料を簡単に作ることができます。今回は、先ほどのレポートをベースにプレゼンテーション資料を作ってもらいます。
このレポートをプレゼンテーション用の資料に変換して下さい。
色調は青色をベースに落ち着いた感じにして下さい。
論理関係を図解したり、表などを用いて、視覚的にわかりやすくして下さい。出力はHTML形式でお願いします。
出力結果例


図・グラフ部分は、枠組みだけになっています。一度に作成することはできませんので、以下を参考に、個別に生成して埋め込むと良いかと思います。
図解
図解やグラフ、イラストも生成AIで作ることができます。Geminiではイラストの生成はできませんが、グラフや図解はSVG形式(XMLコード)で出力できます。イラストは、ChatGPTなどを使うと良いでしょう。
日本の人口推移について、1枚のスライドにして下さい。
年齢構成がわかるように積み上げ棒グラフにして下さい。
また、実際の数値がわかるようにグラフの下に表を記述して下さい。
書式はSVGでお願いします。
出力結果
SVG形式のコードが出力されるので、拡張子を.svgとしてファイルに保存します。SVGファイルをブラウザで開くと、生成されたグラフが確認できます。

SVGファイルは、PowerPointに貼り付けた後、右クリックのメニューから、「図形に変換」を選択すると、編集可能となります。

数字の正しさは、元の資料を辿って確認の必要があります。今回は、調査と資料作成を同時に行いましたが、本来は、まず調査をしてデータの正しさを確認した上で、そのデータに基づいてグラフを作成してもらう方が確実かと思います。
まとめ
今回は、Difyなどを使わず、一般的なチャットツールだけ資料を作成してみました。調査から図解まで各段階で活用することができ、作業時間の短縮につながるかと思います。
- 社内研修の資料
- 営業提案書
- 運用マニュアル など
全て自動で行うのではなく、内容を対話的にブラッシュアップしながら作成して行くのが良いかと思います。